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箱根ロープウェイに2026年4月13日から仲間入りした「音箱(OTOBACO)」は、立体音響技術「Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)」を世界で初めて取り入れた特別仕様のゴンドラです。今回は実際に「音箱(OTOBACO)」へ乗車し、晴れた日と雨・霧の日でそれぞれ異なる音楽演出を体験。天候によって表情を変える、箱根の新しい空中散歩の魅力をレポートします。
「音箱(OTOBACO)」は、箱根ロープウェイの早雲山駅〜大涌谷駅間(約1.5km・約10分)を走る、世界初の立体音響ゴンドラです。コンセプトは「音で体験する箱」。最大の特徴は、映画館などにも採用されている立体音響技術「Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)」を導入している点にあります。
Dolby Atmos®は、音が前後左右だけでなく、頭上も含めた全方位から立体的に届く音響技術。ゴンドラには、天井に4台、足元に4台の合計8台のスピーカーと、天井の両端に2台のウーファーが組み込まれており、音にすっぽりと包み込まれるような没入感を味わえます。
実際に乗車してみると、出発した瞬間から、まるで自分たちだけのために演奏してくれているかのような感覚に。家庭用スピーカーで聴く音楽とはひと味違い、音質の良さと、身体をやさしく包み込むような重低音の心地よさに驚かされます。
楽曲を書き下ろしたのは、映画やアニメの伴奏音楽制作でも数々の実績を持つKOSEN氏。晴天用と雨天用、天候に合わせた2曲が用意されています。さらにDolby Atmos®ミックスは、数々の有名アーティストの空間オーディオを手がける古賀健一氏が担当しています。
外観は通常のゴンドラとまったく同じですが、内部にスピーカーやウーファーなどが設置された特別仕様。循環するゴンドラの中に、「音箱(OTOBACO)」仕様の車両が2台混ざっており、およそ10分間隔で早雲山駅にやってきます。目印は車体の隅に貼られた音符のマーク。一般的なゴンドラ同様に座席が用意されているため、座ってじっくり音に浸るのはもちろん、立って360度の眺めを楽しむこともできます。
これまで箱根ロープウェイは、雄大な自然や大涌谷の景観を「目で楽しむ」乗り物として親しまれてきました。そこに今回、「音で楽しむ」という新たな魅力が加わったことで、箱根の空中散歩はさらに印象的な体験へと進化しています。
基本情報は以下のとおりです。
| 運行区間 | 早雲山駅 → 大涌谷駅(片道) |
|---|---|
| 乗車時間 | 約10分 |
| 利用料金 (=貸切料金) |
1組あたり2,500円/税込 (1台貸切・最大16名まで) |
| 定員 | 最大16名 |
| 購入方法 | 早雲山駅の窓口にて当日購入(事前予約不要・現地精算) |
| 運行 | 繁忙日を除く通年、約10分間隔(1時間に6本) |
※そのほか、別途、箱根ロープウェイの運賃が必要(早雲山~大涌谷間通常運賃片道2,000円、往復3,000円/各税込)
利用する際は、早雲山の窓口で利用料金を支払えば、チケットと貸切札がもらえます。
「音箱(OTOBACO)」は、1台を1組で貸し切って乗車できる点も大きな魅力です。カップルで利用すれば観覧車のように二人だけの特別な時間を過ごすことができ、家族や友人などのグループであれば、周囲を気にせず楽しめます。
もうひとつ嬉しいポイントが、待ち時間が比較的短いこと。早雲山駅では、チケット改札入場後「音箱(OTOBACO)」専用のレーンで待機する仕組みになっており、目印は「音箱(OTOBACO)」の文字と音符のマークです。通常のゴンドラとは待機場所が分かれているため、初めての方でも案内に沿って進めば迷わず乗車できます。
タイミングによっては平日でも列が長く伸びて待つことが多いのですが、「音箱(OTOBACO)」なら比較的スムーズに乗車できるのも嬉しいポイントです。
なお運行日は箱根ロープウェイ公式サイトで公開されています。大型連休や年末年始などの混雑時には販売を見合わせる場合もあるため、訪れる前に最新情報をチェックしておくと安心です。
※平日でも混雑時は見合わせることがあります。
今回は、晴れの日バージョンと雨の日バージョンの両方を体験しました。通常のロープウェイとはひと味違う、音に包まれるような空中散歩の様子をご紹介します。
晴れた日に流れるのは、ピアノ協奏曲をベースにした楽曲「Soundscape in Owakudani」。早雲山駅を出発すると同時に壮大な旋律が広がり、まるで映画のオープニングのように、空の旅への期待を一気に高めてくれます。コンパクトなゴンドラの中で、後方や頭上を含めた全方位から音に包まれる体験はとても新鮮です。
乗り場を出て、ゴンドラが空中散歩を始めれば、そこからは冒険の幕開け。少し高度を上げてから進行方向の反対側を振り返ると、箱根大文字焼きで知られる明星ヶ岳の「大」の文字が見えます。冒険気分がいっそう盛り上がります。
そして大涌谷の谷へと差しかかる山越えの場面で、音楽はクライマックスへ。曲が最高潮に達したかと思うと景色が一変し、左手には噴気が立ち上る大涌谷のダイナミックな風景、右手には富士山をはじめとする山々が広がります。音と景色がぴたりと重なり合う瞬間は、「音箱(OTOBACO)」ならではの特別な体験です。
雨や霧の日に流れるのは、専用楽曲「Searchlight in Owakudani」。デジタルサウンドを軸にした、大人っぽくクールな一曲。ゴンドラの揺れとも心地よく重なり、聴いているうちに少しずつ音の世界へ引き込まれていきます。
雨や霧の日は、視界がやわらかく白に包まれ、音が描き出す情景にそっと意識が向かいます。「Searchlight in Owakudani」の旋律が空間を満たし、「窓の外はどんな景色なのだろう」と想像がふくらむのは、この日だからこそ生まれる、特別な旅の楽しみ方です。
「音箱(OTOBACO)」の魅力は、音だけにとどまりません。窓の外に広がる大涌谷の景色、立ち上る噴気、ゴンドラの揺れ、さらに身体で感じる振動。視覚や聴覚だけでなく、大涌谷ならではの自然を全身で感じられる体験が待っています。
ゴンドラ内のウーファー2台が生み出す重低音も、注目したいポイント。音が体にダイレクトに伝わってくる感覚があり、景色や音楽の盛り上がりに合わせて振動がリンクすることで、まるで空中に浮かぶ小さなシアターにいるような臨場感に包まれます。
全面ガラス張りのゴンドラからは、晴れていれば早雲山から大涌谷へ向かう途中で富士山を望むこともできます。
そして、さらにユニークなのが、すべての「音箱(OTOBACO)」に備わる「グラスハッチ」です。グラスハッチとは、ゴンドラの床の一部がガラスになっている仕掛けのこと。透明度が高く、足元に広がる森の葉の形までくっきり見ることができます。
ゆっくりと流れていく森を見下ろしていると、まるでドローン映像を眺めているような、不思議な美しさに癒されます。ふだん箱根の大自然を真上から眺める機会はなかなかなく、特別な時間になります。
大涌谷の噴気地帯にさしかかると、立ちのぼる煙を間近に、そして足元のガラス越しに見下ろすことができ、ちょっとしたスリルも。浮遊感と立体音響が組み合わさることで、空に浮かんでいる感覚がよりリアルに迫ってきます。雨の日には、しっとりと濡れて輝く葉や、風に流される白い霧が見え、晴れの日とは違った趣を楽しめます。
大涌谷に近づくにつれ、立ち上る噴気はどんどん間近に。そして大涌谷駅に降り立つと、ふわりと漂う独特の硫黄の匂いが出迎えてくれます。音や景色だけでなく、匂いまで含めて大涌谷を体感できるのも、この旅の醍醐味です。
観光地では、雨や霧の日は「ちょっと残念」と感じてしまいがち。けれど「音箱(OTOBACO)」は、その価値観をくつがえしてくれる大切な存在に感じられます。
視界が閉ざされるぶん、自然と音への集中力が高まり、想像力が刺激される。霧の中を進むゴンドラは、晴れの日とはまったく違う幻想的な世界へと連れて行ってくれます。「天気が悪くても楽しめる」のではなく、「雨や霧の日だからこそ味わえる体験」があります。
「音箱(OTOBACO)」を体験したあとは、早雲山や大涌谷周辺も巡ってみませんか。どちらの駅周辺にも、立ち寄りたいスポットがそろっています。
「音箱(OTOBACO)」の乗車前にぜひ立ち寄ってほしいのが、早雲山駅の2階にある『cuーmo箱根』。2階の展望テラスからは、大文字焼きで知られる明星ヶ岳や強羅の街並み、晴れた日には、相模湾や三浦半島まで一望できます。無料の足湯も併設されていて、絶景を眺めながらの足湯はなんとも贅沢です。
カフェでは、雲をイメージしたオリジナルスイーツも楽しめます。特におすすめは、スムージーの上に綿あめを浮かべた「ニューベル」。見た目もかわいらしく写真映えばっちりです。オリジナルグッズから箱根の定番土産がそろうショップも併設されています。


大涌谷駅は、2025年春に駅前広場とともにリニューアルし、展望エリア『ちきゅうの谷』が誕生しました。テーマは「黒・ジオ・風」。標高約1,000mの高地で、荒々しい岩肌や立ちのぼる噴気、硫黄の匂いなど、大地の営みを五感で感じられるスポットです。
なかでも「息吹のデッキ」は、大涌谷の谷のほうへ約11m突き出したガラス張りの展望スペース。足元のガラスから蒸気の景色を見下ろせるうえ、近くを箱根ロープウェイのゴンドラが通り過ぎる様子も眺められます。併設の『谷のマルシェ』では、火山の景観をテーマにした限定ドリンクやソフトクリームなどもが味わえます。
「音箱(OTOBACO)」は、これまでの箱根ロープウェイとはひと味違う、音と景色に包まれる新感覚のアクティビティです。立体音響、身体に響く重低音、グラスハッチから見下ろす絶景。五感をフルに使って空中散歩を楽しめるからこそ、ただの移動ではなく、記憶に残る10分間の旅になります。
晴れの日はもちろん、これまで「ちょっぴり残念」とされがちだった雨や霧の日でも、晴れの日には味わえない特別な思い出を作ってくれるでしょう。
「音箱(OTOBACO)」は、早雲山から大涌谷までの片道運行ですが、大涌谷で下車したあとは、芦ノ湖のほとりである桃源台まで箱根ロープウェイで足を伸ばすのもおすすめです。箱根ロープウェイの乗り降りが自由にできる「箱根フリーパス」や登山電車・ロープウェイ「大涌谷きっぷ」を使えば、お得に箱根をめぐれます。
箱根を訪れたら、ぜひ一度、音と絶景に包まれる空の旅を体験してみてはいかがでしょうか。
※令和8(2026)年6月29日時点の情報です。
箱根滞在中に位置情報を利用し、
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