活鰻問屋だった店主が、箱根のおいしい水に惚れ込み「この地でも、こだわりのうなぎを味わってほしい」との思いから開いた『芦柳庵（ろりゅうあん）』。箱根湯本駅から徒歩圏内ながら、喧騒から離れた静かな路地の一角に佇む、趣ある古民家のお店です。

100年以上前の建物を改装した店内は、木のぬくもりに包まれ、大きな窓からは四季折々の花が咲く庭園を眺められます。訪れた人からは「昔の家に帰ってきたよう」といった声も多く、旅の合間にほっと一息つける落ち着いた空間です。

看板メニューは、季節の小鉢3品とデザートが付いた「うな丼御膳」（6,000円／税込）。う巻きや旬の酢の物、小田原で仕入れる新鮮な魚のお造りが先に提供され、うな丼を待つ時間も楽しみに変わります。使用するうなぎは国産。名滝「玉簾の滝」の清水で丁寧に泥抜きをし、当日の朝に予約分だけを裂くという丁寧な仕事がなされています。タレはさっぱりとした上品な味わいが特徴です。

さらにもう1品楽しみたい方には、香ばしく焼き上げた「白焼き」（4,400円／税込）もおすすめ。うな丼と同じく1匹丸ごとのうなぎを使い、素材のうま味をじっくり堪能できます。2人でシェアするのにもぴったりです（ハーフサイズは事前予約のみ対応）。

また、うな丼や白焼きが盛られる輪島塗の器は、今では作り手がいない貴重なもの。昭和天皇の御用達店から受け継いだ逸品で、目でも楽しめるのが魅力。食事のひとときをさらに豊かにしてくれます。

箱根観光の拠点の一つ、元箱根港の目の前。箱根海賊船のりばや箱根神社の第一鳥居のすぐ近くという抜群の立地にあるのが『うなぎ長谷川』です。バス停やタクシー乗り場もすぐそばにあり、観光の合間に立ち寄りやすいのも魅力。

名物は、うなぎの白焼きと蒲焼きを交互に並べた「うな重 市松」（4,620円／税込）。美しい見た目は写真映えも抜群で、もちろん味も本格派。白焼きにはわさびとすだちを添えてさっぱりと、蒲焼きはコクのある甘めのタレでじっくりと。一つのお重で二つの味を楽しめる贅沢な一品です。

もう少し手軽に楽しみたい方には「うな重 竹」（3,520円／税込）も人気。ふっくらとしていて脂の乗った大ぶりのうなぎを使用しており、噛むたびに旨味が広がります。

逸品料理でおすすめしたいのが、強羅の老舗『勝俣豆腐店』の「手作りざる豆腐」（880円／税込）。水にさらさず仕上げることで素材の旨味をぎゅっと閉じ込めた、濃厚な味わいが魅力です。1つが大きめなので、2人でシェアするのにもぴったり。

食後には、前店舗から受け継がれた人気スイーツ「龍神の玉」（660円／税込）や、自分で点てられる「抹茶」（660円／税込）もぜひ。和の外観と、落ち着いたモダンな内装が心地よい空間を演出し、旅のひとときを穏やかに彩ってくれます。

仙石原の自然に抱かれた『箱根 うなぎ乃稲荷舎』は、88年継ぎ足し続けた秘伝のタレと、職人の丁寧な手仕事が光る一軒。この秘伝のタレは焼くたびにうなぎの旨味が染み込み、奥深くコクのある味わいに育ちます。仕上げには木製の専用器具を使用しており、風味を損なうことなく提供されます。

うなぎは全国から選び抜かれた国産品を使用。焼きには金属臭を避けるため竹串を採用し、素材の香りと旨みを最大限に引き出します。蒸しと焼きの加減は、その日の気候や湿度を見ながら職人が感覚で調整。皮までやわらかく仕上がるのが特徴です。

看板メニューの「極上うな重（肝吸い・香の物付き）」（5,990円／税込）は、継ぎ足しダレと御殿場産の特別栽培コシヒカリの絶妙な組み合わせが魅力。鮮度の高い紀州産の最高級粉山椒をひと振りすれば、鮮やかな香りと辛みがうなぎの旨みを一層引き立ててくれます。

一緒に味わいたいのが、ふんわり焼き上げた「肝焼き」（770円／税込）。臭みがなく、濃厚なタレが絡んだ一品は、うな重とともに注文する人も多いそうです。もう1つの名物「うなぎの押し寿司（1本7～8切れ・椀物付き）」（3,990円／税込）は、50年以上受け継がれた木型で形作る著名人御用達の味。香り豊かな手摘みの実山椒とともに味わえます。

店内は、グレーの壁と手貼りの障子が調和する和モダンな空間。旅の途中に、心落ち着くひとときを過ごせます。また、うな重や押し寿司は高級感のある専用容器でテイクアウトも可能。蓋を外せばそのまま温められ、宿泊先でも本格的な味を楽しめるのが嬉しいポイントです。

2025年3月、箱根湯本駅からわずか徒歩2分の場所にオープンした『うなぎ子亀』は、古民家をリノベーションしたお店。大正ロマンを感じさせる静かで落ち着いた雰囲気が広がります。

看板メニューは「特上うな重」（4,620円／税込）。うなぎをまるごと一尾使用し、しっかりと食べ応えのある一品です。使用するうなぎは、信頼できる仕入先から時期に応じて厳選。品質を確保しながらも、価格はあえて抑えめに設定しており、観光客や地元客にとって嬉しい「手が届きやすい本格派」を実現しています。

うな重に添えられているぬか漬けは、自家製の無農薬ぬか床で丁寧に漬けたもの。そして、お吸い物やお茶には、箱根の名湧水「姫の水」を使用するなど、細部にまでこだわりが感じられます。近隣の小田原や御殿場などの野菜や豆腐も積極的に取り入れており、地元の恵を感じられるのも魅力のひとつです。

うなぎと一緒に楽しみたい逸品料理も充実。さっぱりといただける「うざく」（880円／税込）や、小田原の老舗『土岩商店』のかまぼこを使った「板わさ」（660円／税込）など、箸休めとしてぴったりのメニューが揃います。ドリンクには、香ばしい「足柄ほうじ茶（香）」（770円／税込）がおすすめ。うなぎの脂をすっきり流してくれる味わいで、食後の満足感をさらに高めてくれます。旅の途中に、肩ひじ張らずに味わえる本格うなぎをぜひどうぞ。

2025年4月、強羅にオープンした『箱根強羅 うなぎ元長』は、うなぎと和牛すき焼きを一度に楽しめる贅沢な御膳が評判のお店。オープンから間もないながらも口コミ評価は上々で、満足度の高い料理に早くも多くのファンを獲得しています。

ランチの人気メニューは、「うな重 上」（4,290円／税込）。うな重と肝吸い、ゆず大根がついたセットです。ふっくらとした大きめのうなぎに、柑橘系の隠し味を加えた特製ダレが絡みます。脂の旨みを引き立てながらも後味は爽やか。甘めのタレは、ワサビにもマッチするように作られています。骨は丁寧に処理され、皮はパリッと香ばしく焼き上げられており、細部にまで行き届いた職人の技が光ります。ご飯には、白米と麦をブレンドした麦めしを使用。うなぎのタレがしっかり染み込み、プチプチとした麦の食感とともに味わえます。食物繊維が豊富で体に優しいのも嬉しいポイント。

箱根では珍しく夜営業も行っており、ディナー限定の「うなぎと和牛すき焼き御前」（11,000円／税込）は、うな重とすき焼き鍋、季節の逸品料理といった豪華なセット。しっかりと味付けされた割下で仕上げるすき焼きとうな重を一緒に楽しめる贅沢な体験ができます。お客さんの中には、すき焼きの割下をうな重の麦飯にかけて味わう方もいらっしゃるなど、自由な楽しみ方ができるのも魅力です。

箱根ビールのホワイト・ブラック・レッド全種を取りそろえているのもポイント。素泊まりで宿泊される方にもぴったりのお店です。人気のため、訪問前には席だけでも予約しておくのがおすすめ。

旧城下町・小田原に佇む『豊島鰻寮 一月庵』は、昭和16（1941）年築の登録有形文化財「豊島邸」を活用した、趣あふれるうなぎ料理店。スタッフの着物姿や温かな接客も相まって、心ほどけるひとときを過ごせます。

名物は、関東では珍しい「うなべ」と「うぞふすい」。「うなべ・うぞふすいコース（2名様〜）」（9,988円／税・サービス料・施設保全協力金込）を注文すれば、地魚や豆腐を使った前菜や、デザートもあわせていただけます。うなべ、うぞふすいのどちらにも、柔らかく、脂が乗った青うなぎを使用。その旨味を引き出すために、カツオと昆布のだしに、うなぎの頭や骨を加えた特製の優しいお出汁で仕立てられています。九条ネギや庄内麩が入ったうなべは上品な鍋料理として、うぞふすいはニンジンやごぼう、椎茸とともに楽しむ滋味深い雑炊として、多くの方に「うなぎのイメージが変わる」と好評です。

さらに、湯引きやうなぎせいろ蒸しなど、日本各地のさまざまなうなぎ料理を楽しめるのも魅力。ひとつのお店でうなぎの多彩な表情に触れられます。

もちろん、「うな重」も人気（コース8,778円、単品5,830円／各税込、コースはサービス料・施設保全協力金込）。タレをあえて控えめに提供しているのは、まず青うなぎそのものの味を堪能してほしいから。後から温かい追いダレでお好みの味加減に調整できます。「肝焼」（1,320円／税込）も人気。大ぶりの肝を卵黄と黒七味で味わうスタイルは、このお店ならではの楽しみ方です。

窓の外には四季折々の表情を見せる庭園が広がり、食事のひとときをより豊かに演出。うなぎを味わうだけでなく、日々の疲れを癒せる場所として、ぜひ訪れてみてください。

箱根エリアで日本の伝統料理「うなぎ」を食べられるお店をご紹介しました。白焼きと蒲焼きを交互に並べられたうな重や継ぎ足し続けた秘伝のタレが染み込んだうな重など、その美しい見た目、豊かな味わい、そして香ばしい匂いを存分に楽しんでください。

※令和7（2025）年6月23日時点の情報です。