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過ごしやすい気候の秋は、登山にぴったりの季節。都心からアクセスがよく自然豊かな箱根では、気軽に登山を楽しむことができます。登山がはじめての方も挑戦しやすいのは「金時山」。乙女峠〜長尾山を越え金時山山頂を目指し、公時神社へ下山するコースは所要時間約2時間半と、比較的難易度が低い初心者向けのコースです。また、他のコースと比べて混雑しにくく密を避けやすいため、新型コロナウイルス感染予防対策の観点でもおすすめです。今回は、登山初心者の編集部スタッフが実際に体験してきた様子をレポートします。箱根の山に詳しい「Hakone Mountain Ripper」の鈴木教仁さんには、登山の際に気をつけたいポイントをアドバイスしていただきます。深い緑から少しずつ赤や黄に色づく紅葉を眺めながら、箱根で登山を満喫しませんか。
まずは箱根登山バス停留所「乙女峠」まで向かいます。新宿から向かう場合は、小田急箱根高速バスが便利です。バス停から国道138号線を約5分ほど歩き「乙女峠入口」の案内板が見えたら、そこが登山口です。広くなだらかな道を約5分ほど歩くと、「乙女ハイキングコース」の案内板があります。その先へ続く細い階段を登り、いよいよ登山スタートです。
まずはなだらかな道を進みます。
細い階段から登山道へ入ります。
鈴木's LESSON
暖かい日でも標高が高くなるにつれ気温が下がるので、ウィンドブレーカーなどの羽織りを持参しましょう。靴は滑りにくいスニーカーがおすすめ。また、登山中は水分補給が大切なので、水は500ml×2本を用意すると安心です。
Hakone Mountain Ripper
鈴木 教仁さん
第1ポイントである「乙女峠」まで、約30分の道のりです。最初は階段状に整備された登り坂ですが、途中階段が途切れて急勾配になる箇所も。地面はゴツゴツとした岩が多いので、足元に気をつけましょう。背の高い樹木からキラキラと溢れる木漏れ日や、漂う草木の爽やかな香りを感じながら進んでいきます。
少しずつ道が険しくなります。
岩場は滑りやすいのでゆっくりと進みましょう。
鈴木's LESSON
岩の上や粘土質の土は滑りやすいので、一歩踏み出す前に次に足を置く場所を定めて、着実に進みましょう。特に険しい箇所では、そばにある樹木の太い幹に掴まりながら移動すると足元も安定します。
Hakone Mountain Ripper
鈴木 教仁さん
「乙女峠」に到着したら、一度休憩しましょう。テーブルとイスが設置されているので、腰掛けて休むことができます。展望台からは富士山の裾野と御殿場の市街を見渡せるので、撮影スポットとしても注目です。ここからは第2ポイントである「長尾山」の山頂を目指して、案内板に沿って長尾峠方面へ約15分ほど進みます。
乙女峠の案内板が目印です。
富士山の景色を見渡せます。
長尾山へと続くゆるやかな登り坂は、時折右手側の展望が開けて神山や芦ノ湖が見えます。長尾山の山頂に着くと、平坦な広場があります。周囲は樹林に囲まれているので眺望はありませんが、昼食をとる場所としてもおすすめです。小休憩を挟んだら、いよいよ金時山を目指します。
ゆるやかな登り坂が続きます。
長尾山山頂は広場のように開けています。
鈴木's LESSON
少し疲れが出てくる頃。長尾山山頂で呼吸を整え、ある程度体力を回復させてから先へ進みましょう。
Hakone Mountain Ripper
鈴木 教仁さん
さまざまな植物に出会えるのも登山の醍醐味。箱根の山に多数生育する「クマザサ」は、殺菌作用が高いため、笹寿司などに用いられることが多いのだそうです。そのほかにも、小指の先ほどの花や、青々とした美しい苔、樹木の隙間から顔を覗かせるキノコなど小さな植物を見つけて、豊かな自然を目一杯堪能しましょう。
長尾山から金時山へ向かう登山道に入ると最初はしばらく下り坂が続きます。そして再び、大きな岩がゴロゴロと転がる赤土の急な登り坂に。金時山山頂が近くになるにつれ、さらに傾斜がきつくなります。岩場には滑り止め用にロープが設置されているので、しっかりと掴まりながら移動しましょう。芦ノ湖や大涌谷の景色を眺望できる見晴らしの良いスポットにも注目です。急坂をしばらく登ると一気に視界が開け、金時山山頂の目印である立札が見えてきます。
急坂を越えると開放的な道に出ます。
見晴らしの良い眺望に山頂が近づいていることを感じます。
鈴木's LESSON
金時山山頂まであと少し! 険しい道が続きますが、途中息が上がったら立ち止まり、こまめな水分補給を心がけましょう。無理をせず自分のペースで進むことが大切です。誰かと一緒に登る場合は、滑りやすい箇所でお互いに声を掛け合いましょう。
Hakone Mountain Ripper
鈴木 教仁さん
いよいよ、山頂に到着です。自分の足で登った山頂から見渡す雄大な景色に、感動もひとしお。達成感を味わいながらおもいきり深呼吸して、新鮮な空気を全身で感じましょう。金時山山頂の立札の先には、晴れていれば美しい富士山が望めます。小休憩できるテーブルやイスが設置されているほか、通年営業の「元祖 金時茶屋」と「金太郎茶屋」があり、公衆トイレも完備されています。
晴れた日に見られる富士山の景色は絶景です。
遠くに広がる芦ノ湖も眺望できます。
「元祖 金時茶屋」のおすすめは、名物の「大粒なめこ入りみそ汁」500円。長野県から仕入れた大きななめこを丼ぶりでたっぷりと味わえます。“たくさん歩いてお腹が空いた人もしっかりと満足感を感じられるように”という店主の思いが込められた、食べ応えのある一品です。ほどよい塩気が疲れた体に心地好く、お腹が満たされると同時に元気が出ます。店内で食べるのはもちろん、外で景色を眺めながら食べるのもおすすめ。体が温まったところで、下山を開始しましょう。
山頂からは「公時神社」まで下山します。途中、道がふた手に分かれる箇所では、案内板の「金時神社方面」に沿って進みます。地面は樹木の根が露わなでこぼこした箇所が多いので、つまずかないように気をつけましょう。
右手の金時神社方面へ進みます。
案内板があるので安心です。
鈴木's LESSON
一歩一歩、かかとから踏み降ろすイメージで下りましょう。つい足元ばかりに気を取られがちですが、少し先に目線を置くことが大切。先を予想して足場を定めることで、安全かつスムーズに下ることができます。
Hakone Mountain Ripper
鈴木 教仁さん
神秘的な雰囲気が漂う「金時宿り石」が見えてきたら、あともう少し。金太郎伝説で有名な坂田公時(さかたのきんとき)と母の山姥が夜露をしのいだというこの岩は、寒さのせいで真っ二つに割れたのだと言い伝えられているそうです。
緑深まる自然の中を、森林浴。
岩肌を彩る苔は神秘的な美しさを放ちます。
「公時神社」に到着したら、下山のゴールです。平安時代中期に源頼光の四天王の一人として活躍した坂田公時が祀られているこの神社には、登山者の安全と子どもたちの健康を祈願する参拝者が数多く訪れています。
坂田公時の幼名である「金太郎」は現代でも広く知られています。
社殿の先に山を見渡すと、改めて達成感を感じます。
アニメ「エヴァンゲリオン」の聖地として知られている箱根。公時神社入口に設置された公衆トイレは、エヴァンゲリオン仕様になっています。小田急箱根グループでは「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の公開を記念して「箱根エヴァ化計画」を実施中。箱根エリア内のバス、施設などがエヴァンゲリオンデザインで装飾されています。
公時神社を出たら箱根登山バスに乗車し「乙女峠」で降車後、「FUJIMI CAFE」へ向かいましょう。出発時にも通る場所なので、登山前に立ち寄るのもおすすめです。お店のイチオシメニューは「FUJIMIバーガー」1,540円。静岡県産あしたか牛100%のパテを使用した、ボリューム満点の一品です。デザートに食べたいのは「手作りフィナンシェ」550円。御殿場産のそば粉をブレンドした富士山型の焼き菓子です。きび砂糖の甘すぎないコクとしっとりとした食感は、やみつきに。雄大な富士山を眺めながらのんびりと食事して、登山の疲れを癒してはいかがでしょうか。
「手作りフィナンシェ」550円は、富士山の形をしています。
開放感のあるウッドテラス席が人気です。
※「FUJIMI CAFE」は令和2(2020)年7月15日にリニューアルオープンしました。
駐車場の利用は店舗利用者のみなので、注意しましょう。
トレッキングやマウンテンバイクなどのツアーガイドとして活躍する鈴木さん。Hakone Mountain Ripperからツアーを申し込むと、安全に楽しむためのレクチャーを受けながら、箱根の自然を満喫することができます。今回は自分たちで登山を楽しみたい方向けにアドバイスをいただきましたが、Hakone Mountain Ripperを利用して登山を体験するのもおすすめ。わからないことや不安なことも優しく丁寧に教えてくれるので、はじめての方でも安心です。
※2020年9月21日時点の情報です。
※金額は全て税込価格です。
※施設によって税率が異なる商品がございます。詳しくは各施設にお問合せください。
箱根滞在中に位置情報を利用し、
周辺にあるスポットを見つけることができます。