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旅先でのランチ、なにを食べるか迷うことはありませんか? 誰もがその土地に詳しい人におすすめのお店を聞いてみたいと考えたことがあるはずです。この企画は、そんなみなさんに箱根の取材を長年続ける箱根ナビ編集部員がとっておきのお店をお伝えする企画です。第一回となる今回は、大正ロマンあふれる雰囲気で味わう本格そばをご紹介します。
箱根ナビ編集部が箱根小涌園「蕎麦 貴賓館」の「冷蕎麦」(1860円)をおすすめする理由。それは、お店のそば粉選びにあります。料理長にお話を聞きました。
「先代の料理長が、そば粉選びに時間を費やしました。ひまわり畑が有名な北海道の北竜町は寒暖の差が激しいため、くせのないおいしいおそばが採れるんです。そこのそば粉を取り寄せています」(箱根小涌園「貴賓館」料理長)
北竜町から取り寄せたそば粉でつくられた更科そばの色白で透明感のある麺が食欲をそそります。そのツルツルと滑らかなのど越しを体験すると、何度も通いたくなります。また、薬味には繊細なそばの味を邪魔しない九条ねぎを使用しています。
「繊細な更科そばは、風味の強い白ねぎを薬味にするとそばの味と喧嘩してしまうので九条ネギにしました。そういうそばの味を生かす工夫はだし作りにも取り入れていて、かつおぶしも荒節と本節を混ぜて、旨味を引き出すためにしいたけとバルサミコを入れています」(箱根小涌園「貴賓館」料理長)
さらにわさびは、静岡県伊豆市で採れる「天城(あまぎ)」を使用。清流と風土に恵まれた大地でつくられたわさびをその場でおろして食べるのがおすすめです。口全体にそばとわさびの風味が広がります。冷蕎麦以外にも、山百合膳(3100円)や手作り寄せ豆腐(1860円)など、食欲をそそられるメニューが揃います。
本格そばの他に、箱根小涌園「蕎麦 貴賓館」のもう一つの魅力となっているのが、大正ロマンの雰囲気があふれる店内です。1918(大正7)年に藤田平太郎男爵の別館として建てられた「国登録有形文化財建造物」で、椅子やテーブル、じゅうたんなどの家具も年代物の品をセレクトしています。京都のお寺によくみられる借景庭園を眺めながら本格そばに舌鼓を打つ。そんな贅沢なひとときを過ごすことができます。
庭園に流れる川の水面にお月さまが映って見える「月の間」からの眺めが、料理長の一番のお気に入りとのこと。また、庭園の向こうには明星ヶ岳が望め、夏に催される「箱根強羅夏まつり大文字焼」では、山頂付近に赤々と「大」の火文字が浮かび上がります。ランチにこだわらず、ディナーでも訪れたいお店です。
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